ツイッター小説 140字の風景(面白い)

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140字の風景(面白い系)③

人違い

待ち合わせは14時。

クライアントは常連らしいが

自分はまだ面識がない。

約束の時間を迎えた。

ちょうどその頃

1人の老紳士が。

私の顔を見るや否や直ぐ様

満面の笑みで

こちらへ駆け寄る。

私も精一杯の笑顔で。

しかし老紳士は私をすり抜け

後方の男性と

固い握手を交わす。

悲劇

腹の調子が悪い。

朝から断続的に襲う痛みに

違和感はあったが

気にせず仕事を続けた。

無事、帰路に就いた車中

今日最大の波がやってきた。

脂汗をかきながら

何とか駐車場に車を納め

マンションのエレベーターへ。

しかし無情にもその箱は

誰も乗せずに

上階へと向かった。

無視

救急車が出入口に到着。

重症で出血が激しい。

一刻を争う状況だ。

オーライ!オーライ!

年輩だが不慣れを否めない

警備員の1人が誘導。

しかし車はそれを全く無視し

目的の場所に停車した。

それから間もなく

不快感を顕にした彼の

ストップ!という言葉が

虚しく響いた。

老獪

閉店ギリギリ

見切り品は売り切れかな。

半分諦めて惣菜コーナーへ。

お!何かある!

“特選握り 8貫入り”

手を伸ばしたその時、

誰かぶつかってきた。

「ああ!すいません。」

『いえ、大丈夫ですよ。』

気を取り直してお寿司を…。

跡形もなく消えていた。

あのじじぃ…。

幼女

目の前を歩く母子。

女の子はまだ2歳くらいか。

ヨチヨチ、コテッ!

ヨチヨチ、コテッ!

その都度、ママが抱き起こす。

それが楽しいのか

ケラケラ笑う。

その様子を横目で見ながら

追い越す際に

女の子と目が合う。

「パパ!」

『あら!違うよ。』

背中で聞き、頬が緩んだ。

憧れ

社員食堂での出来事。

「ここ、良いかな?」

憧れの先輩・滝沢さんだ。

『はい!どうぞ!』

目一杯のスマイルで答える。

「君は庶務課の…」

『長澤です!』

即座に答え、目を見つめる。

「そうだったね。笑」

これはもしや?

「沢尻さん、元気かな?」

そうだよね 💦

マリオ

高速道路に入った。

先程から後方で甲高い

エンジンらしき音が聞こえる。

バックミラーで確認するも

誰もついて来ていない。

不思議に思いながら

次のインターで下りるため

左側に寄って減速した。

するとその横をさっきからの

エンジン音が通り過ぎる。

え? 何? マリオ?

帰路

帰宅途中、

川沿いの柳が見えてきた。

いつもながら薄気味が悪い。

素早く通り過ぎようと

足を早めた矢先

前方に蹲る人影が。

長い髪の女性だろうか?

どうやら泣いているらしい。

大丈夫ですか?と問う。

覆っていた手を外し

振り向いたその顔は…。

” お帰り ”

姉貴かい!笑

無念

去年、定年退職した父。

趣味の盆栽も順調らしい。

現職の頃から温厚な彼は

どんな時も平静を保っている。

“盆栽は心の乱れを表すからね。

いつも穏やかでいないと。”

そう話し、ある枝を切った。

あれ? それって?

明らかに切ってはいけない枝。

父の肩が小刻みに震えた。

閉店

この行列はびっくりした。

変わり種も増えてきた

ラーメン業界に於いて

あくまでシンプルな

出汁に拘った一品で

メニューも醤油と塩のみ。

一定間隔を保たせ列を

コントロールする

店員も見事だ。

次の次くらいかな?

店員が立て看板を置いた。

え?

“ スープ切れ、御免!”

終了

休日にやってきた商業施設。

見慣れた顔が。

近くのコンビニ店員さん。

どうやら1人のようだ。

タイプなんだよな。

『お買い物ですか?』

思い切って声を掛けた。

「あら!」

向こうも僕に気付いた。

『もし良かったらこの後… 』

“ ママ!”

3人の子供たちが駆け寄る。

上司

早くしてくれよ!

改札口を通る際

私の直前で手間取る老婆。

仕方ないと思いつつ

通過の手助けをする。

今日は遅刻出来ないのだ。

新任の営業部長がやってくる。

かなり厳しいらしい。

何とか始業ギリギリで駆け込む。

“ 初日からいい度胸だな!”

挨拶中の男は、

《親父?》

新人

年度末は猫の手も借りたい。

ここ経理部では

精算処理に追われている。

営業マン達がダメ元で

領収書を出し捲るのも

それに拍車を掛けた。

しかしそれも大詰め。

どうやら残業せずに帰れそうだ。

“ 良かった。間に合った!”

笑顔で走り込んできた新人営業。

《お前な~!》

大物

ベンツが横付けし

強面の男達が。

中心の男は一層凄味を漂わす。

「頭!どうぞ!」

乗り込む目前に女の子。

周りに緊張が走る。

“ おじちゃん、悪い人?”

「おい!ガキ!」

凄む舎弟を制し、目線を合わせ

『危ないからお家に帰んな。』

女の子は、にっこり笑い

“ 良い人だね ”

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