ツイッター小説 140字の風景(連載)

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140字の風景(連載コーナー)③

裏切りの刃 (BY チルチルチル)

1.

許さない。

俺はあいつを絶対に許さない。

必ずあいつを破滅させてやる。

出世も結婚も社内での

人気も 何もかもあいつが上。

いつも辛酸を舐めてきた。

今度は、

今度こそはあいつの番。

俺が味わった屈辱を

必ずお返しする。

そうやって笑って

いられるのも今のうちだ。

2.

私は営業部の課長。

今回のプロジェクトで

リーダーを勤める。

難しい案件だが

メンバー皆の力を合わせれば

必ず成功すると信じている。

『今回も大変な案件になる。 皆で何とか乗り切ろう。』

「任せてください!」

「一緒に頑張りましょう!」

皆が暖かい声をくれた。

3.

早速、企画立案に取り組む。

しかし今年5回目になる

このプロジェクトは

年々マンネリ化し

転換期を迎えていた。

皆で案を出し合うも

在り来たりのものが多く

どれも決め手を欠いた。

正直お手上げとなり掛けた時

「1つ提案があるのですが。」

係長が重い口を開いた。

4.

係長の提案とは

我が社の過去における

プロジェクトを

掘り返して見た結果

あるパターンが

繰り返されている。

それを敢えて外すことで

斬新なものに

なるのではないか?

なるほど、良く調べてくれた。

『よし!みんな!その線で進めよう!』

皆の目に再び力が宿った。

5.

活気を取り戻すも

妙案は簡単に浮かばない。

精も根も尽き果て

みんなの士気は

再び低下していく。

「係長。この方向で 本当に大丈夫ですか?」

主任が疑いの眼差しを向ける。

『係長を責めるのは違うと思う。』

私の投げ掛けにみんな我に返り

係長は仕上げを急いだ。

6.

コンペプレゼンの当日。

各社の役員、プレゼン担当者、

スポンサー、

そうそうたる顔ぶれだ。

5社が順を追って発表する。

我が社は最後5番目だ。

私もリハーサルに余念はない

何とか間に合った。

「課長、頑張ってください!」

皆が後押ししてくれる。

静かに幕が開いた。

7.

発表は順調。

4番目の企業が

プレゼンを開始した。

流暢な説明。

内容の素晴らしさに

歓声が上がる。

しかし私はそれを聞きながら

背中に冷たい物を感じた。

次に我が社が発表する

内容と全く同じだった。

仲間が唖然とする中

係長が微笑んでいる。

『ミクタギ!お前!』

トライアングル(BY Mariko)

1.

今日からは社会人。

希望の部署に配属になり

まずは一安心。

同期で気になる男性がいる。

時折目が合うので

彼もまんざらではないと思う。

一緒の時間も長い。

これからゆっくり

関係を作っていこう。

“期待で少し目が血走っているわ”

トイレで鏡を見つめ

彼女は呟いた。

2.

入社して3ヶ月が過ぎた。

彼は恥ずかしがりなのかな?

今一つ距離が縮まらない。

今日もランチで

お弁当を作ってきたのに

お腹が空いてないと。

体調が悪いのだろうか?

顔色も悪かった。

今日あたりお見舞いにでも。

さすがにまだ早いかしら?笑

そんなことないわよね。

3.

ようやくわかった。

あの女が邪魔していたのね。

私とあの人が近づくことを。

何も知らない癖に。

私とのこと。

あの人は優しいから

嫌と言えずに困っているのね。

私が何とかしなければ。

彼を救えるのは私しかいない。

そうだ! いい考えがある。

ふふふ。楽しみね。

4.

「聞いたか? 人事部の佐々木さん。」

『ああ。事故だってな。』

「でも、あんな時間に会社で何やってたんだ?」

『それが不思議なんだよ。』

「女が目撃されたという噂もあるぞ。」

『男絡みかな?』

昨夜、社内の一室で

女性の変死体が。

手作り弁当が

傍らで見つかった。

5.

あの女も馬鹿よね。

彼がお腹空かせて残業してる。

そう言ったら

弁当持ってノコノコ現れた。

あの人の同期だか

何だか知らないけど

勝手に運命感じちゃって。

一番タチが悪いのよ。

でもこれで安心出来る。

彼も落ち着けるわね。

今度こそ私の番。

少しお姉さんの私の。

6.

「おい!びっくりしたな。」

『今度は人事部の村上さんだろ?』

「ああ この会社どうなってんだ?」

『全くだな。これ殺人かな?』

「今回も一応事故扱いらしい。」

「 でも絶対おかしいだろ!」

『確かにな。」

『だが仮に誰かが殺したのなら相当なやり手だな。』

男らの一人が嗤う。

7.

1人になり、

男は窓辺に向かい歩き出した。

『やり手って自画自賛だな。』

そう言って笑い

街並みを見下ろす。

『二人との接点は誰も知らない。』

ポケットから

タバコを取り出す。

一口吸い、

その刹那意識を失う。

煙と共に香水が漂う。

そして皆、跡形もなく消えた。

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