140字の風景(面白い系)④
SNS
これは浮気ではない。
相談に乗るだけだ。
そう言い聞かせて
待ち合わせ場所へ。
SNSで意気投合し
やり取りの中
相談を持ち掛けられた。
ご主人に不倫疑惑があるらしい。
和食店の個室で相手を待つ。
“ お連れ様がお越しです。”
店員の後ろから現れたのは
「あなた?」
『・・・・。』
花見
職場仲間でお花見。
昨今の事情により
少人数の開催となる。
幹事の私は一番乗り
直ぐにみんなも集まる。
場所取りは完璧。
ジンギスカン用のコンロ。
お肉、野菜の準備も万端だ。
『じゃあみんな、始めようか!』
皆は顔を見合わせ、
「お前、ビールは?」
あ!忘れた。ごめん! 💦
常連
ここのカレーは旨い。
半世紀近い人生で
こんなカレーは
食べたことがない。
5年振りに感動が甦る。
あっという間に皿を平らげ
一息つき、会計へ向かう。
「ありがとうございます。」
『久しぶりでしたがこの味は変わりませんね。』
「あの…先月オープンしたばかりです。」
そうなの? 😅
陰謀
間もなく正午
今日こそゲットする。
会社前に来る手作り弁当を!
時間だ!席を立つと
「佐藤君、この書類間違っているぞ!直してから行きたまえ!」
部長が引き留める。
なんだよ。ツイてないな。
ようやく終わった頃
部長が手作り弁当片手に
笑顔で帰ってきた。
おのれ! 謀ったな!
成仏
“ おい、ちょっと早くないか!”
眼下には仲睦まじい夫婦の姿が。
妻の方は半年前まで
私の奥さんだった人だ。
”あんなに泣きじゃくって、送ってくれたじゃないの!”
「貴方に会うために生まれてきたんだと思う。」
瞳を潤ませながら言う元妻。
“ 成仏なんて出来るか!”
発覚
発端はやつの浮気だ。
私にも悪い所はある。
しかし妻帯者が他の女と
一夜を共にして良い訳がない。
もう3ヶ月も冷戦状態にある。
“ もうそろそろ許してやるかな。”
夫が留守の間、
彼の部屋で洗濯物の選別。
ベッドに筒状の
如何わしい物体が。
“ 反省してねぇな、あいつ。”
コンビニ
“ いらっしゃいませ! ”
ジャムおじさんだ。
風貌が瓜二つ。
毎朝、この時間に
麦茶とおにぎりを2つ購入。
中身は、鮭とたらこだ。
色んなお客さんがいる。
そろそろ出川哲朗の登場だ!
「すいません。トイレ貸して!」
尻を抑えて走り込んできた。
今朝も変わらない日常。
絶倫
父が亡くなって15年。
当時を思い起こすと
よく今までやって
来られたと思う。
兄と妹と私の3兄妹。
それぞれ母は違うが
仲良くやってきた。
“ これからも変わらずな!”
誓い合った我々だが
遺産相続の段階になって
それは10人に増えた。
親父、あんたお盛ん過ぎるよ!
牛丼
行き付けの牛丼屋に入り
店員に注文を伝えた。
“ いらっしゃいませ!”
いつものあの老人だ。
“ ご注文は…? ”
「うんとね…。」
お決まりの長考が始まる。
“ お決まりの頃に…。”
「いや、決まってるんだ。」
更に数分経過。
“ お客様、後程…。”
「待って!牛丼…並で。」
抜駆け
今でも忘れない。
幼少期のあの日の事を。
学校から帰るとお前は
台所で何やらやっていた。
自室に戻った俺は宿題を片付け、
おやつを食べに台所に向かった。
いつも母が用意している。
冷蔵庫を開けると
食べかけのプリンが…。
先程までいた弟は
跡形もなく消えていた。
絶句
久しぶりに早く帰宅した。
「あら!珍しいのね。」
妻も大変驚いている。
『こんな日もないとね。』
食卓テーブルに座ると
娘の真由もやってきた。
“ お父さん、早いじゃん!”
『今日は用事もなかったしな。』
“ ふ~ん。今は綺麗なお姉さんのお店も行けないしね?”
『…。』
若者
遅い。
もう13時を過ぎている。
さすがに店舗へ問い合わせた。
『すいません。出前まだですか?』
「少々お待ちを…… あれ?もう着いてるはずなんですが……。」
念のため部屋のドアを開けると
例の制服を着た男が立っている。
“ お客さん! 遅いですよ!”
いや、お前がな!
濡れ衣
通勤ラッシュ時の地下鉄。
何とか間に合った。
チェックしたスマホに
急ぎの用件は無い。
ふと顔を上げると前方に
杖を付くおじいさんが……。
そして何と勢い良く放屁した。
思わず笑みが溢れる。
クスクス、回りも笑い出す。
え? 私を見て笑っている。
いや、私じゃ……。
※ こちらは不思議な世界……。
↓
※ 半世紀の時を超え……。
↓
コメント