愛猫との別れ アリスがくれたもの
夏の終わり そして突然の別れ
2021年9月20日 AM5:00頃 愛猫アリス 永眠
AM5:00頃というのは、最後に立ち会えなかったから。
前夜の様子は特別ではなかった。久しぶりにやってきた長女が、今晩はアリスと一緒にいると言い出した時に気付くべきだったかもしれない。
私は先に休み、夜中に娘たちの気配を感じながら朝を迎えた。
すっかり定位置になった脱衣所での姿。
9月に入ってからこの写真のような日が増えた。1週間ほど前から元気が無くなり、亡くなる3日ほど前からは食事を取れなくなった。
その朝もスポイトで水とミルクに混ぜたフレイクを与えるつもりだった。
『アリちゃん、おはよう。』そう声を掛けた。
しかしその朝は一番上の写真のように布団が掛けられていた。娘の仕業だと気付いた。キッチンに向かい掛けて、やはり違和感を感じた私はアリスの傍へと方向を変えた。
『アリちゃん?』もう一度呼び掛ける。
『アリちゃん!』両手を右手で握り、左手で体をさする。
数秒後、事態を認識した私は何度も何度も呼び掛け、体をさすった。何を叫んだか覚えていない。暫くその状態が続いたと思う。
しかし、アリスは二度と目覚める事はなかった。
漠然と考えていたアリスとの別れは、全く他人事だったと思い知らされた。
その後、長女を起こし4時半までは元気だったらしい。私が起きるまでの1時間半の間に、アリスはこっそり逝ってしまった。
無治療の選択 そして後悔
およそ1年半振りの愛猫日記がアリスとのお別れになるとは、正直全く予想していなかった。
今年の初めに腎臓の数値が上がり、もう治療しても完治は見込めないと医師の診断を受けた。
悩みに悩んで出した答えが、無治療という結論だった。結果的にこの判断がもしかしたら間違いだったかもしれないと今は後悔している。
実際は、通院をやめてからアリスとチョコの調子はすこぶる良くなった。食事もたくさん取る様になり日に日に元気も出てきた。
食事も取れずどんどん痩せていった年始の状況を考えると奇跡だった。
やはり薬と治療が悪かったのだ。私はそう思い込んでしまった。
何故なら若い時から腎臓病の予防にと薬や食事などに気を付けていた。その結果が年始の状態だったので病院に対する信頼は大きく失墜していた。
そして治療をやめてからの回復振り。このまま元気になると安心しきってしまった。
半年以上、元気でいてくれたのは、私のミスを必死に庇ってくれていたのだろうか?
アリスがくれたもの
可愛いでしょう?(笑)
2005年、春、アリスはチョコと一緒にやってきました。
当時、元嫁が飼っていた老猫を動物病院に通わせていて、そこで彼らと出会いました。
『子猫七匹、産まれました!』掲示板に七匹の子猫が。
その真ん中で、一際目立って写っていたのがアリスです。一目惚れでした。
ただ、幼き日に救えなかった子猫との別れがトラウマとなり、どうしても今まで飼うことが出来なかった。
しかしそれをも覆すほどの運命を感じました。家族満場一致で迎え入れる事が決まりました。
お転婆でした。(笑)
女の子なのに……。(笑)
家族たちの手も足も傷だらけ。遊び相手が必要とチョコを向かい入れました。正解でした。写真のように仲良しです。
アリスが先に出てきたのでお姉さん。何かあると写真のように舐めてあげます。チョコが悪さして怒られると直ぐに飛んできて慰めます。
人間4人、猫2匹の楽しい生活が始まった。この生活がずっと続くと信じていました……。
3年後、元嫁が家族の元を去りました。
私も娘たちもどん底に落とされ、家族は崩壊するしかない状態に陥りました。
それを救ってくれたのがアリスとチョコでした。
特に娘たちは寂しい思いをした筈です。
そんな時、二人がいてくれるだけでどんなに救われた事か。
感謝してもし切れません。
彼女たちも歳を取り、次女が結婚し、長女も独立して、私と二人との生活が始まりました。
私もアリスとチョコのお陰で寂しくなかった。でもね……。
アリスとチョコは寂しかったと思うのです。
元嫁や娘たちの事が大好きだったから。
だから最後、長女が来てくれて安心したのかもしれません。
寂しい思いをさせてごめんね。ダメなパパです。
最後に見せてくれた幼き日の幻
アリスとの最後の夜、娘が帰り、私は酒を吞みながら夜通し彼女と語り合った。
朝方、仮眠を取る為、布団で微睡んでいた。
夢の中でも私は泣いていた。
部屋の入口に気配を感じそちらを見ると、涙の向こうに幼き日のアリスがいた。
まだ短い尻尾を振りながら……。
『帰ってきてくれたのかい?』
懐に向かい入れ抱きしめると、一鳴きして……消えた。
夢だったのか?現実だったのか?
最後の最後まで、アリス有難う。
……、翌日アリスの葬儀が行われた。
桜の木の下に埋葬されます。
春になる度、桜の花をアリスが咲かせます。
アリスはずっと私たちの傍にいます。
そしていつか、きっと何処かで、
必ず会えると信じています。
その日まで、アリス!またね!
※ 私と一緒に沢山の人達がアリスを追悼してくれました。この場をお借りして、本当に有難う御座いました。
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