桜木紫乃 ホテルローヤル ネタバレなし!男と女の様々な交わり。見守ってきたホテルローヤル…。

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桜木紫乃 ホテルローヤル

ミクタギです!

男と女。

そもそも脳の構造が違う。

それゆえにどこまで行っても

交わることはないという。

それでも、いやそれだからこそ

求めあってしまうのか?

理解したいから。

そのための一番分かり易い行為が

セックスなのかもしれない。

しかしそれは同時に

関係を複雑にすることにもなる。

作者紹介

桜木紫乃

北海道釧路市出身

2002年「雪虫」で

第82回オール読物新人賞受賞

2013年「ラブレス」で

第19回島清恋愛文学賞受賞

同年、「ホテルローヤル」で

第149回直木賞受賞

代表作

「起終点駅(ターミナル)」

「星々たち」「ブルース」

本編あらすじ

登場人物

加賀谷美幸・・・スーパーマーケット事務員

設楽幹子・・・住職の妻

田中大吉・・・ホテルローヤルのオーナー

田中るり子・・・大吉の妻

田中雅代・・・大吉の娘

本間恵・・・中学生の息子を持つ主婦

野島広之・・・高校の教師

山田ミコ・・・ローヤルの従業員

ホテルローヤルは

北海道釧路市にある

いや、

あった所謂ラブホテルである。

この物語は

このホテルの来し方と

それに投影された男と女の

機微が描かれている。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

加賀谷美幸は28歳。

同級生の彼との交際に

疑問を感じ始めている。

彼と訪れたホテルローヤルの廃墟で

ヌード撮影に興じる。

もちろん彼の希望なのだが

徐々に不安になっていく彼女は

積年の思いに決着をつける。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

設楽幹子は30歳。

二十歳年上の住職に嫁いだ。

看護助手をしていた

彼女を見初めたのは彼の父だ。

容姿も良くない

自分が選ばれた理由。

そう考えたくはないが

寺の経営は厳しい。

不景気により

檀家はどんどん減っていく。

そのため提案されたのが

檀家との月に一度の逢瀬。

先代から

続く古い檀家からの提案だ。

年老いた檀家たちとの逢瀬を

幹子は看護と割り切る。

しかし

ある自分とそれほど

変わらない年齢の檀家との逢瀬で

自分の中の女を思い出す。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

野島広之は高校教師。

道南・木古内町に赴任している。

札幌に住む妻とは

離れて暮らしている。

その妻に

20年続いている男がいた。

彼女を自分に紹介した上司だった。

妻はもう別れるという。

しかし20年の付き合いを

5年の結婚生活が

越えられるとも思えず

悶々とした日々を過ごす。

ふいに札幌に黙って帰ってみよう。

そう思い

乗った列車に教え子がいた。

彼女は

帰るところがなくなったという。

両親が揃って

別々の相手と出ていったらしい。

ある意味居場所を失くしたふたり。

共に札幌まで向かう。

そこで彼が目にしたものは

上司と妻が

自宅に入って行く様子だった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

これらの物語と

ホテルローヤルが重なり合う。

桜木紫乃渾身の直木賞作品。

本編見どころ

ホテルローヤルは

田中大吉がオーナーだ。

うだつの上がらない看板屋が

夢見た最初で最後の夢。

妻と子を見返したい。

愛人としてるり子を幸せにしたい。

そんな思いから始めたホテルだ。

しかし妻と子は

大吉の思いを受け止めれず

家を出ていった。

そんな時るり子の妊娠を知る。

大吉はこのホテルローヤルで

るり子と

第2の人生を送ることを決意する。

そんな思いの

籠ったホテルローヤル。

ここに登場する人たちとの

心の機微を共有する。

そこが焦点となるだろう。

読後感

大吉とるりこは20以上年が違う。

その後の彼らがどうなったのか?

想像するのは容易い。

いくら愛し合った所で

最後の最後にすり抜けてしまう。

男と女とはそういうもの。

だから

実態を求めて足掻いてしまう。

形を作ろうとする男。

それを掴もうとする女。

もしそれが幻なら

これ程虚しいものはない。

そんな綱渡りのような関係を

作者はホテルローヤルに

投影したのだろう。

自分の中の男。

自分の中の女。

今一度見詰め直すのも悪くない。

読者の感想

読んでみたくてブックオフで見つけて即買い。 ラブホテルの裏側や訪れるお客様たちの人間模様だと思っていたらホテルの一生のような内容だった。 数珠繋ぎで前のお話でちらりと姿が見えたものが後に繋がってくる感じでふむふむと興味をそそられた。 4章は苦しくなるような話で悲しくなってしまった。 もう少しホテルの栄光的な場面もあれば尚楽しめたのにな。もっと華々しい時期も見てみたかったな。でもラブホテルだからそういうのあんまりないのかな。 とりあえず、えっちな描写も盛り沢山だったのにはちょっと驚いてしまった。

北国のラブホテルを舞台としたいわゆるグランドホテル形式の群像劇。ちょっとした非日常の空間で「性」を通してリアルな人生が交錯する様が淡々とそして鮮やかに描かれる。それぞれの物語はどこか滑稽でだけど切実だ。苦しい生活の中に一筋の光が見える『バブルバス』絶望の淵でふたりが出会う『せんせぇ』が好き。田舎のラブホテルの名前って感慨深いものがあるけど僕が好きなのは「ホテル・カリフォルニア」。学生の頃、夜中に友人とイーグルスをBGMにドライブしてこのホテルを眺めて70年代のウェストコーストに想いを馳せた。

ギリギリ4月に読み終えた。 映画がやったので気になって買ったものの自分の想像してた内容と離れてた作品でした。 ただ物語が現在→過去に戻っていく話でホテルローヤルのその時々の思い出話というのかかいつまんでいく話です。 短編的な内容でストーリーは続いてますが少しずつではありますが繋がりのあるストーリーです。 自分的には最後の最後が一番好きです。さてさて5月はたくさんラノベ読もう。

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