ツイッター小説 140字の風景(アラカルト)

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140字の風景(アラカルト)①

誤算

搭乗手続きの後

出発の案内を待つ。

何とか逃げ切れそうだ。

1時間もすれば機上の人。

証拠は全て処分した。

自分に繋がるものは何もない 。

それにあの金は

表には出せない。

スマホで残高の確認をする。

まさか!ゼロになっている。

背後に座っていた男。

パソコンを閉じ立ち去った。

策略

この数ヶ月

まともに眠っていない。

それも今日で終わる。

この後、リーダーとして

プロジェクトを締め括る。

後輩が眠気覚ましに

熱いコーヒーを入れる。

寝不足の体に心地よい。

一瞬、微睡む。

しまった!

会議室へ走る。

ドアを開けると

後輩が喝采を浴びていた。

悲劇

夕方から降り続いた。

ワイパーも

ほとんど役に立たない。

リサイタルを

息子が見に来る。

間に合わないかも。

突然、衝撃音が。

急停車して車外へ。

人が横たわっている。

辺りを見回す。

誰も見ていない。

そのまま走り去る。

倒れている男の右手に

チケットが握られていた。

旧知

久しぶりに寄ってくかな。

懐かしい暖簾をくぐる。

「ご無沙汰ね」

カウンターから

声が掛かった。

無言で微笑む俺。

「いつもの?」

やはり無言で頷く。

ビール瓶とグラスを2つ抱え

カウンターの隣席へ。

グラスが満たされた所で

「野暮な男に乾杯!」

いつもより少し苦く感じた。

冬山

仕方なかった。

冬山に登ろうと

言ったのはあいつだ。

足を踏み外した。

手を出したが

支え切れなかった。

相変わらず吹雪は続く。

もうすぐ山小屋だ。

明かりが見えた。

何度もドアを叩き

助けを求める。

開かない。 このままでは。

ドアの前に

あいつの帽子が落ちていた。

驚嘆

少し寝かせた方が

美味しいんだけど。

じゃがいも、ニンジン

玉ねぎ、豚肉 、次々と

買い物かごに放り込む。

夕方のスーパーは

かなりの混雑だ。

昨日作っておくんだった。

最後にカレールーを

投げ込みレジへ急ぐ。

「このメニューは 明日にしよう!」

花束片手に夫が現れた。

残思

もう20年になる。

懐かしい顔ぶれが集まった。

総勢数百人。

同窓会としては集まった方だ。

幹事としては嬉しい。

みんな老けたな。

これなら俺はまだまだ若い。

しかしさっきから

誰も自分に話かけてこない。

わからないのか?

ある卓の中央に

俺の遺影が飾られていた。

誤解

どうしても納得いかない。

同期で歳も同じ

能力だって変わらない。

なのにいつも

あいつが先に昇進する。

明日の大事なプロジェクトも

仕切るのはあいつだ。

あ!スマホを忘れた。

会社へと戻る。

灯りが点いていた。

中ではあいつが

明日のプレゼンを

何度も繰り返していた。

桔梗 (バツイチ家長女さん:時代劇風)

京都、近江屋にて

中岡慎太郎と龍馬は

新しい時代の到来を

心待ちにしていた。

しかし気掛かりなことが。

明智より続く桔梗の呪い。

何も起こらなければ良いが。

突然、襖が開く。

切っ先をかわす間もなく

鮮血が迸る。

薄れゆく意識の中

菊の紋を見詰めた。

西郷か、、。

お手柄 (ウサ子さん:猫と赤ちゃん)

にゃ~!

精一杯の

鳴き声で駆けてくる。

この瞬間が至福の時だ。

両手で、これでもか!と、

ばかりに撫で上げる。

ふと何かに気付いた模様。

走りだす。

ベビーベッドから物音が。

急いで向かう。

息子がベッドから

ずり落ちそうだった。

猫ちゃんが

それを見上げていた。

奮起 (ふく子さん:勉強嫌い)

昔から試験が嫌いだ。

中学、高校受験も最低限

極力、試験を避けた。

両親にいつも叱られた。

もっと勉強しなさい。

でも嫌いなものは仕方ない。

そんな私が今、

猛勉強している。

標識や運転の注意点 など

学科試験合格

に向けて一生懸命。

今年の夏は彼女と

2ケツでドライブだ!

終焉 (ふく子さん:お城)

もうこれまでか。

燃え盛る炎が

ここ天守にまで近づく。

敵軍の足音か?

誰かが登ってくる。

呼吸も苦しくなる。

朦朧とする中、

城下を見下ろす。

まさに修羅場そのもの

その場に座り、

居住まいを正す。

ゆっくりと目を瞑り

懐に刃を向ける。

かつての栄華が

瞼に浮かんだ。

回顧 (ウサ子さん:夏の終わり)

縁側に腰を下ろすと

鈴虫の音色が聞こえた。

夕暮れの風は心地よく

握った団扇も必要ない。

秋もそこまで来たようだ。

グラスに酒を注ぎ

あの夏に想いを馳せる。

二度と帰らない

最高に暑かった夏。

もう30年か

随分と歳を取った。

噛み締めるように

酒を煽った。

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