あの日、君は何をした ネタバレなし(まさきとしか)息子は何故死んだのか?そして15年後の悲劇……。

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あの日、君は何をした ネタバレなし(まさきとしか)

序盤 抑えるべきポイント

女性連続殺人事件の容疑者・林竜一が宇都宮警察署から逃走した。

それが不運の始まりだった。

水野家は、夫・克夫、妻・いづみ、娘・沙良、息子・大樹の4人家族。優しい夫、家族思いの娘と息子。幸せに暮らしている一家。の筈だった。

殺人犯が逃亡した翌日の早朝、電話のベルが水野家に響いた。ただならぬ予感を感じながら、いづみは受話器を取った。

“ 息子さんはいらっしゃいますか? ” 警察だと名乗る相手は、そう尋ねる。何を言っているのか?寝ているに決まっている。

先ほど自転車に乗った男が事故を起こしたという。その自転車の登録が、息子・大樹のものらしい。

ならば盗まれたのだ。しかし相手は、本当に息子さんはいるか確認して欲しいと言う。

馬鹿馬鹿しいと思いながら大樹の部屋を確認する。ベッドは人型に丸まっている。やっぱりいるじゃないか。起こそうとして触ると、山は……崩れた。いない。

そう言えば、昨夜の物音。まさか……。事故を起こした男は即死だった。

まさか、大樹が……。

夜遅く、大樹は何処へ出掛けたのか?

大樹は自転車に乗っている所、巡回中のパトカーに停止を求められた。しかし何故か彼は、それを無視し逃走した。

その後、停まっていたトラックに激突して命を落としてしまったのだ。

なぜ大樹は逃げたのか?たまたま殺人犯が逃亡した夜に重なったのも運が悪かった。

その夜、逃亡中の男に女性が傷つけられ、新たな被害者が出てしまった。ネットでは大樹がやり玉に挙がった。

中学生が夜中に何をしていた?素行不良の学生じゃないか?お前のせいで警察の警備が手薄になった。その為に新たな犠牲者が出た。

息子が何をしたというのだ。息子は成績優秀で家族思いのいい子だ。水野家は幸せに暮らしていたのだ。

いづみの思いとは裏腹に、大樹は貶められていく。世間のバッシングは続く。

いづみは塞ぎ込み、夫・克夫は家庭から離れ、娘の沙良も人との付き合いに恐れを感じ始める。

何がいけなかったのか?大樹はあの夜、何をしていたのか?

あの夜、何があったの?

相関図

本編あらすじ

水野大樹の死から15年後、都内のアパートの一室で女性の他殺体が発見された。

警視庁管轄の三ツ矢秀平・田所岳斗が現場に向かう。所轄刑事の田所と警視庁捜査1課の三ツ矢が合流して事件にあたる。

最初の任務は、被害者・小峰朱里の不倫相手とされる百井辰彦の自宅へ向かう事だった。被害者の自宅周辺で辰彦の姿が確認されたからだ。しかし伺った先で、辰彦本人に会うことは出来なかった。

代わりに対応したのは、辰彦の妻・野々子であった。しかし野々子は辰彦はいない。そして何処に行ったかも分からないと言う。

その状況に違和感を覚えた三ツ矢は、質問を重ねるがこれといった返答は得られなかった。

他殺体と一緒にいた筈の百井辰彦は何処へ行ったのか?

野々子の他人事振りは、辰彦の母・知恵を刺激した。

女性が殺害された。その場にいた筈なのにその後の足取りが分からない。その様な報道は世間の憶測を掻き立てる。

現場から逃げたのだ。それはやましい事があるから。女性を殺したのは彼ではないのか?周辺の人間も、口には出さないものの疑惑を持っているだろう。

辰彦がそんな大それた事をする訳がない。当然、嫁である野々子もそう思っている筈なのに、手応えが全くない。

そんな野々子の態度も知恵を苛立たせた。それならば私が辰彦を探す。そう決心した。

野々子の態度は、辰彦失踪に関係しているのか?

同じく野々子に違和感を感じた三ツ矢は、調べを進める。

田所との即席ペアは、正直上手くいっていない。相棒でありながら単独行動を続ける三ツ矢に、田所は次第と不満を募らせる。

そんな最中、三ツ矢単独で前林市に行っていた事が判明。前林市は群馬県。東京都内で起こった事件に何の関係があるのか?

何も言わない三ツ矢。そしてある日もう一度前林市に行くという。田所は自分も連れていけと頼み込む。意外にも三ツ矢は頷いた。

都内の殺人事件と前林市の関係とは?

前林市で三ツ矢が向かった先は、野々子の母親だった。この街でスナックを経営している。母親に野々子の人物像を聞きたかったらしい。

拍子抜けした。そんな事でわざわざこんな遠い所まで。日頃の行動といいますます訳の分からない人という印象だ。

都内に戻り釈然としない田所は、署内で会った先輩から三ツ矢の過去を聞く事になる。

15年前の宇都宮女性連続殺人事件の容疑者・林竜一を逮捕したのは、三ツ矢だったのだ。

15年前の事件と三ツ矢に接点が……。

ネタバレなしで本編を楽しむ

作者の本を読むのは初めて。正直名前も知らなかった。あまり期待せずに読み始めた。

何とこれが止まらない。次々と読み進めあっという間に完読。久々のヒットだった。

物語は全く関連性の無いと思われる、二つの事件から構成されている。

前半では、殺人事件の容疑者が逃亡した夜に事故死した中学生の事件。

後半では、都内のアパートで起こった女性殺害事件。

この二つが、どう関係し関係しないのか?

事実を明らかにしていく流れ・タイミングが実に見事だった。

文章力もさる事ながら、その構成力に圧巻の作品。

この作品は、是非読んで欲しい!

読者の感想

15年前の事件と現在の事件、全く繋がりが見つからないまま後半へ突入。先が気になって途中で本を閉じることが出来ず、こんな時間に、、😱 心理描写や、狂った人間の描き方が素晴らしい。なかなかヘビーな内容で、読み終わったあとも気持ちが沈んだままである。。悲しみ方は人それぞれ。価値観の押しつけは良くないね。面白かったです。

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