重松清 ステップ ネタバレなし!突然逝ってしまった妻。忘れ形見の娘の成長を願い…。

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重松清 ステップ

本編あらすじ

登場人物

武田健一・・・妻と死別した主人公。

武田朋子・・・健一の妻。病死。

武田美紀・・・朋子の忘れ形見。

鬼の村松・・・朋子の父。

義母・・・朋子の母。

ケロ先生・・・美紀の保育園の先生。

大橋礼香・・・近所の写真館の娘。

成瀬さん・・・コーヒーショップの店員。

田中優香・・・健一のお見合い相手。

斎藤奈々恵・・・健一の職場の同僚。

武田健一は昨年

30歳という若さで

妻の朋子を亡くした。

まだ1歳半の娘・美紀を残して。

父と娘だけの生活を始めて

1年が過ぎた。

これまでの1年は

義父母やベビーシッターに

協力して貰いながら

何とかやってきたが

これからは自分の力で

育てていかなければならない。

今日から保育園に通うことになる。

愚図る美紀をやっとの思いで

ここまで連れてきた。

そこに現れたのは

少しおっちょこちょいの

心の優しいケロ先生だった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

美紀と二人の生活は大変だった。

しかし朋子の残してくれた

大切な忘れ形見と思えば

そんなことは全く問題なかった。

しかし保育園から小学校に上がると

母親のいない辛さや寂しさが

美紀に訪れるようになる。

学校で母親への手紙を

書くことになり、いつも通う

コーヒーショップで美紀の担任と

相談することになった。

ひと足先に着くと

いつも笑顔で対応してくれる

店員の成瀬さんがいた。

どことなく朋子に似ている。

いつも通りのやり取りで

コーヒーを注文し

暫くすると担任がやってきた。

少し神経質そうな

気忙しい人だった。

担任の心無い発言に落ちこむが

それも仕方のないことと

半ば諦めていた。

その夜、

担任から貰った母親への手紙の

資料がないことに気付く。

コーヒーショップだと思い

連絡すると預かっているという。

翌日取りに行き、中身を確認する。

そこには店員の成瀬さんから

メッセージが入っていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

美紀も小学三年生になった。

朋子の死をきっかけに

営業の最前線から総務へ異動した。

美紀と少しでも一緒に居るためだ。

営業時代から

目を掛けてくれた上司が

そろそろ営業に戻ってこいという。

そのためには結婚して

美紀に母親を与えねばならない。

見合いをしろと言う。

渋々受けた見合いにやってきたのは

少しふっくらした優しそうな女性。

田中優香さんといった。

本編見どころ

その後、義父母の協力もあり

何とか美紀と共に頑張ってきた。

健一と美紀が義父の実家を訪ねた時

朋子にとって

祖母にあたる人に会った。

かなり痴呆も進み

美紀を朋子と

間違っていると思っていたが

「朋子は可哀想なことをした、

美紀はよく似ていると笑った。」

ちゃんと覚えていたのだ。

今回はお盆での帰省だ。

きゅうりのお馬に乗って

ママが帰ってくる。

幼くして母を失った美紀は

母の記憶が無い。

本当の意味で母を感じたい美紀は

実は祖母と朋子の話をしていた。

最後に灯篭流しで

ママを送るシーンは

涙なしには読むことが出来ない。

読後感

僅か1歳半の娘を残して

この世を去った朋子の思いは

計り知れない。

そしてその思いを引き継ぎ

必死で大切に育てた健一の

生き様を誇りに思う。

母を失い、その記憶もないまま

小さな胸を痛めながら

パパと寄り添ってきた美紀が

ただただ愛しい。

そして二人を要所で支えてきた

義父母、ケロ先生、成瀬さんたち。

そんな人たちと共に

前を向いてゆっくり

しかし確実に二人は歩いていく。

悲しみは人を優しくする。

本編にある一節である。

そんな二人は

やがて運命の人と出会う。

そこには幸せ一杯の

家族の姿があった。

作者紹介

重松清

1963年 岡山生まれ

出版社勤務を経て

執筆活動に入る。

1991年「ビフォア・ラン」

でデビュー。

1999年「ナイフ」

で坪田譲治文学賞

「エイジ」で山本周五郎賞

を受賞。

2001年「ビタミンF」で

直木賞 受賞

2010年「十字架」で

吉川英治文学賞 受賞

「代表作」

「流星ワゴン」「とんび」

「カシオペアの丘で」

本作、「ステップ」は映画化。

山田孝之 主演の感動作。

作者インタビュー抜粋

10年の年月を2時間で描くということは、描かれない隙間がたくさんできるということでもあって、その余白からさらに想像が広がっていく。のこされた人の数だけ物語があるんですよね。エンドロールの後も、出てきた人たちが生きていると感じられて、その先をまた書きたいと思った。家族って、決してまん丸な満月ではないと思うんです。みんなちょっとずつ何かが欠けていたり、足りなかったり、失われていたり、思い通りにならなかったりするけれど、それを補ってくれる誰かがいる。そのことを信じていいんだと教えてくれるベースキャンプが、親子や夫婦だと思うんです。映画『ステップ』は、原作の思いをさらにパワーアップさせて、次にこの物語を必要としている人に手渡すバトンになってくれたと思います。

映画化のオファーをどのように受けとめましたか?

「ステップ」に関しては映像化のオファーはないだろうと思っていたんです。10年に渡るタイムスパンのある話なので、子供を含めたその間の成長を実写で撮るのは難しいだろうなと。でも飯塚監督から直接手紙をいただいて、映画化への思いを受け取って、この作品を預けてみようかと思いました。僕はもともと飯塚監督の「荒川アンダー ザ ブリッジ」が好きで、ひそかに健一を山田孝之さんが演じてくれたらいいなと思っていたのですが、それが叶ったときは「やった!」と思いましたね。

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