薬丸岳 誓約 ネタバレなし!ポストに投函されていた手紙は、決して許されない過去を思い出させた…。

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薬丸岳 誓約

ミクタギです!

人は誰でも過ちを犯す。

それでも真っ当に

やり直したいと思う。

しかし被害者はどうだろう?

忘れないのではないか?

いつかこの屈辱を

晴らそうと思って。

作者紹介

薬丸岳

1969年兵庫生まれ

2005年「天使のナイフ」で

第51回江戸川乱歩賞 受賞

「Aではない君と」で

吉川英治文学新人賞 受賞

代表作

「ハードラック」「神の子」

「ガーディアン」

本編あらすじ

登場人物

向井聡・・・過去を持つバーテンダー

落合・・・聡の共同経営者

向井香・・・聡の妻

向井穂香・・・聡の娘

佐藤公平・・・聡の店の従業員

宇都めぐみ・・・聡の店の従業員

坂本伸子・・・聡の人生を救った恩人

向井聡は落合と共に

埼玉県川越で

バーレストランを営んでいる。

他店でバーテンダーをしている際

落合から熱烈に口説かれ

始めてから15年になる。

今ではアルバイトのめぐみと公平

と共に店も繁盛している。

プライベートでも妻・香、

娘・穂香と幸せに暮らしている。

そんな中、聡に1通の手紙が届く。

«あの男たちは刑務所を出ています»

差出人の名前は ”坂本伸子” 。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

聡には誰にも言えない秘密があった。

16年前まで

彼は札付きの悪党だった。

当時の名は、高藤文也。

彼は顔に大きな傷があり

そのことでいつも差別されてきた。

そんな世間への復讐の意味もあった。

ある日ヤクザに追われる中

誤ってヤクザを失明させてしまう。

その後、血眼になって文也を探す

やくざから逃げるため、

別人になるのを提案したのは

相棒の真壁だった。

戸籍と顔を変えてやり直す。

ただそれには

多額の資金が必要になる。

途方に暮れる中

1人の女性と知り合う。

それが坂本伸子だ。

1人で慎ましく暮らしている。

彼女は行き場のない文也に

家に来ないかと提案する。

碌に食事も出来ない文也は

それを受け入れる。

彼女は50代半ば。

しかし70代に

みえるほど衰弱してる。

原因は末期の癌。

もう人生に未練などないが

果たさなければ

ならない事があるという。

それを自ら

果たしたいが時間がない。

だから文也に

代わりに果たして欲しいという。

その内容は殺人。

やがて出所する二人の男を

私の代わりに殺して欲しいと。

約束してくれたら

人生をやり直す

資金を提供しても良いと。

本編見どころ

坂本伸子の提案を

受け入れた聡は金を受け取った。

しかし殺人などする気はなかった。

彼女はやがて死ぬ。

いつ出てくるかわからない男たちを

たとえ殺さなくとも問題はない。

彼女の憎しみは痛いほどわかる。

だから生きているうちに

安心させた方が良い。

そんな都合の良い考えしかなかった。

その後、真壁から戸籍を手に入れ

顔も整形して “向井聡”として

生まれ変わったのだ。

それが何故

16年もたった今

坂本伸子が現れるのか?

ここが焦点になります。

出所した二人を殺して約束を果たせ。

さもなくば大事な家族が、、、。

読後感

人生をやり直すため

彼の取った行動は

一概に責められる

ものではないと思います。

しかし全てをなかったことにして

一からやり直そうとすると

実社会でも同じような結末に

なるのではないでしょうか?

罪は罪、

やったことは消えません。

ならば人は

どのように償えば良いか?

司法制度に

則って償えば消えるのか?

難しい問題で

個人差もあるでしょう。

ただやはり

最後は心ではないかと思う。

物理的に復讐を果しても

相手に何の反省も

後悔もなければ虚しいだけです。

心から罪を悔いて

謝罪するときやっと

一つの区切りになるのでは?

そんなことを思いました。

罪と罰。

これを機に少し考えてみるのも

悪くないと思います。

読者の感想

「犯した罪と、それに見合う罰と償い」をいつも考えさせてくれる薬丸作品がとても好きだけど、今回はチョット嵌まれなかったなぁ。

作り込みすぎというかご都合主義というか、 生まれ持った外見のせいで仕事や仲間に拒絶され、犯罪に身を落としヤクザに追われる主人公。

ある老婆との出会いで整形手術と新たな戸籍の為の費用を援助され、別の人生を与えられる。

見返りは老婆の娘を凌辱して殺した男達を殺すこと。

十数年後、妻子を持ち幸せに暮らす主人公に「あの男達が出所している」との手紙が届く。

老婆はすでに他界しているのに誰が…。

バーテンダーの聡に届いた手紙。

過去に起きた事件から誓約を果たせという届け出。

だが聡は家庭も仕事もある身で、それを果たすのにはためらいが。

薬丸さんを初読みだったが無駄のない人物の配置を含めて、ミステリとして機能している。

そもそもが聡自体が清廉潔白な人物ではない。

そこをついて復讐の連鎖がのしかかる。

逃亡犯になる過程がよく出来ているし、サスペンスの畳みかけも上手い。

明るい未来ではないかもしれないが、聡の今後も含めて前に進もうとするのだろう。

薬丸岳さんの作品は好きでわりと沢山読んできたけど、この作品は他の人の作品かな?と思ってしまった。

後半へ読み進めるほど、内容に無理があるというか強引というか…なんか違うな〜と思ってしまった。

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