篠田節子 冬の光 ネタバレなし!フェリー乗船中転落した父の死の真相とは…?

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篠田節子 冬の光

本編あらすじ

登場人物

富岡康宏・・・元重工業メーカー勤務、フェリー乗船中に死亡

富岡美枝子・・・康宏の妻

富岡碧・・・康宏の次女

富岡敦子・・・康宏の長女

笹岡紘子・・・康宏のかつての恋人

物語は主人公・富岡康宏の

死を伝える所から始まる。

四国八十八か所の巡礼に向かい

帰りと思われるフェリーから

身を投げたということらしい。

自死と言うことだ。

現場の状況からそう判断された。

妻・美枝子は遺体確認から戻り

娘たちに苦々しく夫の死を伝えた。

最後まで勝手な人だったと。

康宏には一人の

女性の存在があった。

美枝子と結婚後

二人の娘が生まれた後

それは発覚することになる。

笹岡紘子。

美枝子にとって年上で

気の強そうな

何の魅力も感じられない女だった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

富岡康宏と笹岡紘子。

時は大学時代まで遡る。

1970年代

学生運動のさなか二人は出会う。

過激派同士の内ゲバに

紘子が巻き込まれている所を

康宏が助けた形だった。

紘子は輝いていた。

そのまま二人は恋に落ちた。

高度経済成長期

右肩上がりで突き進む日本で

左翼的思想の持ち主が

自分たちこそ

日本を世界を変えられると

信じて疑わなかった。

二人もそんな一員だった。

日々酒を酌み交わし

明日の日本を変えると意気込んだ。

そんな生活も康宏の就職と共に

少しずつ翳りを見せる。

実社会に出て世間の荒波に揉まれ

日々現実と向き合い

順応していく康宏に対して

大学に残り女性の

社会的立場を強く主張し

大学や男社会と

真っ向から戦う紘子は

価値観の相違を感じ始める。

そのようにして

最初の別れは訪れた。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

その後二人は別々の道を歩み

康宏は美枝子と結婚し

娘たちを設ける。

仕事も順調に続ける康宏は

出張でパリを訪れる。

取引先も含めた団体行動だったため

康宏は世話役を任される。

現地のフランス人との

会話も必要だったため

通訳として現れた。

それが笹岡紘子だった。

十数年ぶりの再会である。

本編見どころ

物語は主人公・康宏の視点と

次女・碧の視点からでなる。

再会から関係を

深めてしまう康宏と紘子。

不器用な康宏に

隠し通せるはずもなく

妻・美枝子に知れてしまう。

やがてそれは

二人の娘たちも知る事となる。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

父親の自死を知った次女・碧は

苦々しい思いの母や姉とは

少し違った感情を持っていた。

父が何を思い、何故

死ななければならなかったのか?

父の思いを知るため

四国八十八か所の巡礼に向かう。

そこで碧は

何を知り、何を思うのか?

康宏の紘子への思い、

家族への思いの真実とは?

ここが物語の焦点である。

読後感

一人の男の人生を見た。

傍目には何不自由なく

一生を送ったように見える。

ただそこには男の

偽らざる感情が垣間見える。

輝いていた学生時代

美しかった紘子を愛した。

時代に取り残されながら

必死で自らの主義を

全うしようとする紘子から

目が離せなかった。

また自分を真っすぐに

愛してくれる美枝子を

愛おしく思った。

そして二人の娘を心から愛した。

どれも康宏の偽らざる思いである。

家族とは何か?

愛するとは何か?

答えなどないのである。

一人一人の人生、それこそが全て。

善悪ではないのだと思う。

人生の一場面を見て

人は幸せだとか不幸せだとか言う。

しかし一概には語れない。

その場面場面が真実であり

その幸せ不幸せもまた真実。

その人の生き様こそが

価値ある真実だ。

作者紹介

篠田節子

1955年 東京都生まれ

1990年「絹の変容」で

小説すばる新人賞 受賞

1997年

「ゴサインタンー神の座ー」で

山本周五郎賞 受賞

「女たちのジハード」で

直木賞 受賞

2009年「仮想儀礼」で

柴田錬三郎賞 受賞

など、その後も数々の賞を受賞

代表作

「スターバト・マテール」

「インドクリスタル」「鏡の背面」

読者の感想

「とにかく、とにかく、とにかく読んでください。」と、よく行く本屋さんのポップに書いてあり、本屋さんの薦める本に間違いはないのでとにかく読んでみた。時代背景が、ちょうど全学連の時とバブルの時期であり、非常に親しみやすい。人物像が非常に理解しやすく描かれており、流石ベテランの作家さんだなぁっと改めて思った。一人一人、色々と物語りがあり、相互に100%理解し合えるのは難しいんだな。家族でも、全部が全部解り合える訳ではないのだな…。考えさせられた本であった。

読みごたえがあった。感動した。でも、康宏みたいな男はちょっとなー「人生を4つの時期に分けて、それぞれの時期にどう生きていくべきか説かれている。あなたくらいの歳だと学びの季節。成熟すると、働き結婚して子をもうける。孫のできる季節になったら、子供は妻に託し、これまで築いてきたものをすべて家に置いて、森に入る「そういう家庭環境で、そういう親に育てられた女たち。高い入学金、高い学費、そして将来の生活に何の保証も与えてくれない特技。それを容認できる経済力と文化資本」「でも恨みつらみと愚痴を聞かされるより、楽かもね」

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