彼女が最後に見たものは ネタバレなし(まさきとしか)クリスマスイブに発見された中年女性の遺体。“彼女が最後に見たものは”……。

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彼女が最後に見たものは ネタバレなし(まさきとしか)

序盤抑えるべきポイント

クリスマスイブ。

都心の空きビルで中年女性の遺体が発見された。

真冬にブラウス1枚。着衣に乱れがあった。

いでたちはホームレスのようだった。

物語はそこから始まっていく。

三ツ矢秀平シリーズ。

今回も警視庁戸塚警察署・三ツ矢秀平と田所岳斗のコンビが真相を暴く。

事件、事故の両面から捜査は行われたが、何と遺体の指紋がある遺体発見現場のデータベースと一致した。

それは遡る事、昨年の8月に発見された遺体。未だに事件・事故の判別もついていない。

場所は千葉県の郊外、都内で発見された遺体と1年以上前に発見された遺体との関係は?

遺体の身元は東山義春。三ツ矢らは直ぐに千葉へ向かった。

二つの遺体の共通点とは?

そこでまずは義春の妻・東山里沙を訪ねる。

夫を失った憐れな未亡人。一見当たり前のように見える風景。

しかし三ツ矢は出窓に置かれたフラワーアレンジメントについて疑問を持った。

なぜ直射日光の浴びる出窓に日中置いているのか?

誰も気にしないような些細な疑問を三ツ矢は積み重ねていく。

一方、ホームレス女性の身元が判明した。

松波郁子、五十六歳。

彼女が千葉に住んでいる時のご近所・宮田睦美が情報提供者だ。

彼女は当時、更年期障害を患っており、大変苦労していたそうだ。

松波郁子と東山義春が千葉で繋がった。

やはり二つの事件は関連性があるのだろう。

二人の接点が事件解決の糸口だ。

相関図

本編あらすじ

クリスマスイブに発見された遺体の指紋が、昨年夏に起こった死体遺棄事件現場のデータベースと一致した。

この二つの事件に様々な人間模様が重なって物語は進行していく。

都心の空きビルで発見された松波郁子。ほとんどホームレスのような生活をしていたらしい。

一方、昨年夏に千葉の公園で発見された東山義春の遺体。

なぜそこに松波郁子の指紋が残っていたのか?

警視庁戸塚警察署の三ツ矢秀平と田所岳斗は双方から事件を追う。

松波郁子と東山義春の接点は?

松波郁子は重い更年期障害に苦しんでいた。加えて夫・博史の仕事は上手くいかず生活は苦しかった。

そんな生活を続ける中、夫・博史は不慮の事故によりこの世を去る。

この事を深く後悔した郁子は自分を責めた。

自分がもっとしっかりしていれば夫を死なせることはなかったのではと……。

夫の死を悔やんでいた松波郁子。

一方、東山里沙は夫の死後、両親に娘・瑠美奈を預けて生活している。

両親の庇護により生きてきた彼女は、大人になり切れていない。

夫の死を悲しむよりも新たな人生に希望を抱いているようにも見える。

男の影も見え隠れする。

東山里沙の行動には疑問点が多く存在する。

松波博史の死に関わった井沢勇介。

トラックドライバーとして運転する車で自転車に乗っていた博史と接触する。

結果として死因は病死だった。勇介と接触した際には既に死亡していた。

これは松波郁子、井沢勇介双方のその後の人生に大きく影響した。

もっとしっかり健康管理をしていれば……という松波郁子。

博史を轢いてしまった時の感触が忘れられない……という井沢勇介。

これらが絡み合い物語は真相へと向かっていく。

複雑に絡み合う様々な偶然が必然へと事態を導いていく。

ネタバレなしで本編を楽しむ

松波郁子の人生。

すべては此処に帰結する。

その人生を逆行していくと少しずつ真実が見えてくる。

人が生きるとはどういう事か?

考えさせられてしまう。

自分が今行った行為が、もしかしたら誰かの人生に大きな影響を及ぼすかもしれない。

そう思うと背筋が伸びるような気もする。

一方で自分に降りかかる災厄は、誰かのせいによるものなのか?

疑心暗鬼に陥るかもしれない。

そんな事など超越してその先に見えた景色は、さぞ美しいのであろう。

読者の感想

すごく良かった!まさきとしかさん、実は知らなかったけど、先をどんどん読みたくなる筆力、キャラクター設定、特に女性の心理描写はすごくしっくりきて、悲しさ、悔しさ、喜び、怒り、すごく自然で、登場人物が生きているかのようだった。 加害者でもあり被害者でもあり、愚かでもあり、賢くもあり。 まさきとしかさんの作品、もっと見てみたい!! 三ツ矢さんを演じるのは…謎っぽい感を出せる人。大森南朋さんか、高橋一生さんとかかなあ。

『あの日、君は何をした』の瞬間記憶を持つ「パスカル」三矢と田所刑事の続編。クリスマスイブの夜、ホームレス女性の遺体が発見された。そして、女性の指紋が、千葉県で男性が刺殺された未解決事件の現場で採取された指紋と一致。この二つの事件はどう繋がっているのか。/三矢さんの慧眼には平伏すのみ。三矢さんいなければ、冤罪が発生したか、未解決事件になりますね。「亡くなった人を思っていつまでも泣いているというのは、その人の生ではなく死を見ていることになると思うのです」

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