真梨幸子 私が失敗した理由は ネタバレなし!次々と登場人物が転落していく。

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真梨幸子 私が失敗した理由は

本編あらすじ

登場人物

落合美緒・・・2歳下の夫を持つ主婦

土谷謙也・・・美緒の元カレ

市原俊恵・・・美緒と同じパート先、隣室一家四人殺害

村上英里子・・・美緒と同じパート先、選挙に出馬、落選

宮里京子・・・美緒パート先社員

塚本絵都子・・・俊恵が殺害後の隣室に入居

桜並木スミレ・・・元ミリオンセラー作家

落合海斗・・・美緒の夫

土谷香乃子・・・謙也の妹

嵯峨野摩耶・・・謙也の姉、元有名劇団員

長谷部麻美・・・売れない作家

落合美緒は田喜沢市の

スーパーでパートをする

普通の主婦である。

元々はキャリアウーマンで

夫の海斗とも会社で知り合った。

海斗は2歳年下で

会社でも部下だった。

結婚生活も共働きで

収入も多く順風満帆だった。

悲劇は妊娠後に起こった。

それを機に産休に入ったのだが

運悪く流産してしまう。

長期で産休の予定が

数か月で会社に戻ることになる。

皆は憐憫の情で迎えてくれたが

それがプレッシャーになり

結局退社してしまう。

そこから転落が始まる。

収入が半減する形になったので

今まで住んでいた

高級マンションにはもう住めない。

そこで夫の海斗は

ここ田喜沢市にマンションを

見付けて来たのだ。

そしてこのスーパーに

パートとして勤めて半年になる。

そんな矢先、

海斗が独立したいと言い出した。

更に生活が安定しなくなる。

どうしてこんな事に

なってしまったのか?

失意のまま美緒は

元カレ・土谷謙也に連絡を入れる。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

ある日美緒がパート先に出向くと

村上英里子が寄ってきた。

市原俊恵が逮捕されたという。

隣室の一家四人を殺害した罪で。

俊恵は日頃から

ストレスを抱えていた。

パート勤務に夫や舅姑の世話。

舅姑からの嫌味や心無い言葉。

そこに来て隣宅の度重なる騒音。

糸が切れた

発作的な犯行と見られている。

しかし村上英里子の話では

市原俊恵は

引っ越しを控えていたという。

手付も済ませ秒読みの段階で

何故という疑問が

湧き上がってくる。

それに何と言っても

美緒は犯行のあった時刻に

近くのコンビニエンスストアで

市原俊恵に会っているのだ。

本編見どころ

落合美緒は土谷謙也に

再会し近況を話し合う。

謙也は出版社に勤め

今では編集長になっている。

かつてうだつが上がらないと

思っていた男に会いに行ったのは

「私が失敗した理由」の書籍化。

田喜沢市の

一家四人殺害についてである。

この後、

土谷謙也の人生も転落していく。

その他、

市原俊恵に人生を間違ったと

言っていた村上英里子。

議員にまで上り詰めた

謙也の姉・嵯峨野摩耶。

一家四人殺害後の隣室に

越してきた塚本絵都子。

美緒の夫・海斗。

謙也の妹・香乃子。

全て転落していきます。

私が失敗した理由。

これを追って次々と展開していく。

美緒や謙也は

一家四人殺害の真実を追い

これを軸に関わってくる登場人物が

どこで間違ったか?

書籍化に向かい再起を誓う

桜並木スミレの真実。

要所に登場してくる

売れない作家・長谷部麻美。

このあたりが物語の焦点になる。

読後感

最後は少し意外な結末となります。

登場してくる人物が

次々と転落していく様は

作者の悪意すら感じます。

しかし失敗した者たちには

共通点があるように思う。

それは優越感。

人は誰しも優越感と

劣等感の中で戦っている。

お互いに共存することはない。

分かり易く言うと勝者と敗者。

敗者は這い上がろうとする。

勝者はそれに酔いしれる。

転落は常にそこで起こっている。

勝者の油断を人は待っている。

そして敗者は数倍にして

負けを取り戻そうとする。

そのエネルギーは凄まじい。

それが世の中で繰り返されている。

作者紹介

真梨幸子

1964年宮崎県生まれ

「孤虫症」で

第32回メフィスト賞 

受賞でデビュー

代表作

「人生相談。」「5人のジュンコ」

「アルテーミスの采配」

読者の感想

おもしろ怖い、けなしてはいけない。←本文参照。作者のデビュー作『弧虫症』がネタになっていて、再読したくなる。弧虫症の舞台らしき街で次々と起こる殺人事件。人物相関図を書きながら読めば、もっとわかりやすかったかも。『後妻打ち』という風習があったというエピソードも効いている。『田喜沢市一家殺害事件』の真犯人は? 『杉並区一家偽装心中事件』の頭は? それにしても、殺してまで小学校の校区に住みたいって思うのだろうか? いや、考えた末、決心したのだろう。1番怖いのは、誰? 書いた作者? ←ほめてますよ!

なるほど。色んな意味で真梨さん怖いわ(笑)。序章では実際の本のようにこの本の執筆動機が語られる。成功を掴むためには失敗を知り尽くさなければならない。失敗の具体的なケースを見ていきましょう。表紙のイラストも一見脱力系のマンガのよう。そんなわけありません。真梨さんですから。各エピソードのタイトルは、マイホーム、独立、選挙、結婚、家族、ベストセラー。全部繋がってる長篇で、デビュー作の「孤虫症」が巧みに使われてます。そして人が死ぬ死ぬ。やはり真梨さん。でもさ。結局失敗した理由は何なのさ!てか、私だれ?!(笑)

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