瑠璃の雫 ネタバレなし(伊岡瞬)
序盤 抑えるべきポイント
相関図
本編あらすじ
小学校6年の杉原美緒が、アル中で入退院を繰り返す母親と自分たちを置いていなくなった父親、そして次弟の突然死を招いたであろう長弟の存在に苦悩する様子から物語は始まる。
母の妹である吉岡薫の助けもあり何とか生活しているが、抑圧された心は親指を噛む癖を引き起こしていた。
常に付き纏う違和感は何処から来ているのか?
美緒と充の将来を心配した薫は、知人である永瀬丈太郎を引き合わせる。連れ合いに先立たれた老人と心を痛めた少女。この出会いから二人は少しずつ心を融かしていく。
永瀬邸の書斎で亡き妻・初恵の遺品に触れながら、美緒は丈太郎の思いに触れていく。
やがて薫と永瀬の関係が明かされる。丈太郎と初恵の間には一人娘がいた。名を瑠璃という。薫は瑠璃と同じ幼稚園に通っていた。
長野という地で、永瀬家と薫に接点があった。そして後に、当時5歳の薫の目の前で瑠璃は誘拐されることになる。
丈太郎との出会いで少しずつ変化する美緒の心。薫と譲渡郎の過去が……。
長野の地で検事として働いていた永瀬丈太郎。妻の初恵、娘の瑠璃と幸せに暮らしていた。
ある汚職事件を担当する事を切欠に、丈太郎の人生は一変することになる。
愛娘・瑠璃の誘拐により丈太郎と初恵は徐々にすれ違っていく。心を殺して仕事に打ち込む丈太郎と娘の帰りをひたすら願う初恵。
思いは交錯したまま、瑠璃を残し東京へと生活を移す。
瑠璃を誘拐したのは誰か?その理由とは?
大人になった美緒は、永瀬の思いを果たそうとする。
瑠璃失踪の真実を追うため関係者への調査を行う。調べを進める中、意外な真実に直面する。
母・由佳里ともう一度向き合い、幼少期からの疑問をぶつける。父親との決別。
そして、次弟の死の真実とは?
幼少からの違和感の正体が明らかに!
ネタバレなしで本編を楽しむ
指を噛む癖。よく見掛ける光景です。
成長の過程で折り合いを付けないと大人になっても続ける人も少なくないとか。
本編の杉原美緒もその一人。
心を覆い尽くす得体の知れない靄は、幼い子供には恐ろし過ぎる。守ってくれる大人がいなければ指を噛んで耐えるしかない。
ただ美緒の幸運は丈太郎との出会い。
すり減って穴が開き、どんな感情も垂れ流していた美緒の心を丈太郎の思いが優しく塞いであげた。行方の分からない娘・瑠璃と重ね合わせていたのかもしれない。
時を越えて交錯する二人の思いに注目しながら読んで欲しい。
読者の感想
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