瑠璃の雫 ネタバレなし(伊岡瞬)次弟の突然死に感じていた違和感。両親の離婚。壊れかけていた彼女を救ったものは……。

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瑠璃の雫 ネタバレなし(伊岡瞬)

序盤 抑えるべきポイント

小学校6年の杉原美緒は違和感を抱えながら生きていた。

次弟の突然死。傍に居た長弟。その後アル中になった母。両親の離婚。そして出ていった父。親指を噛む癖を持つ自分。

入退院を繰り返す母の代わりに姉弟の面倒を見てくれたのは、母の妹である吉岡薫だった。

満足に働けない母のせいで美緒達は食事もままならない。薫に対する遠慮もあり上手く甘えられない。弟の充は、そんな美緒の気持ちも知らず我儘を繰り返す。

ある日コンビニで、発達障害を抱えている弟・充がはずみで商品を持っていた袋に入れてしまった。

店の人間も警察も姉である美緒が弟にやらせたのだろうと決めつけた。薫まで呼び出される事になり、自暴自棄になった美緒はその場で暴れてしまった。

私の気持ちなど誰にも分らない……。

荒んだ生活を送る中で美緒は充を疎ましく思うようになる。幼児とは言え、次弟を殺したのは充だ。今、自分のお荷物になっているのも事実。

事ある毎に美緒は、充を死へと誘った。意味を分からない充はその時の気分で受け入れたりもする。しかしそれは実現する事なく日々は過ぎていった。

叔母の薫は昼は喫茶店、夜はスナックを同じ店で経営していた。

昼の喫茶店に来る馴染み客がいた。名を永瀬丈太郎。元検事で既に定年を迎えている。

妻を亡くし、現在は古屋敷に一人で生活している。彼が作るペーパークラフトに充はとても興味を持った。

薫の提案で、永瀬に教えてあげて欲しいとお願いする。そのお礼に薫と美緒で永瀬邸の家事をお手伝いすると言った内容だ。

薫の思惑は、一人暮らしの永瀬と心の荒んだ美緒達を引き合わせる事で何かが変われば良いという、そんな気持ちがあったのだろう。

この出会いが、それぞれの人生にその後大きな影響を与える事になる。

その後の人生に大きな影響を与えるとは……。

相関図

本編あらすじ

小学校6年の杉原美緒が、アル中で入退院を繰り返す母親と自分たちを置いていなくなった父親、そして次弟の突然死を招いたであろう長弟の存在に苦悩する様子から物語は始まる。

母の妹である吉岡薫の助けもあり何とか生活しているが、抑圧された心は親指を噛む癖を引き起こしていた。

常に付き纏う違和感は何処から来ているのか?

美緒と充の将来を心配した薫は、知人である永瀬丈太郎を引き合わせる。連れ合いに先立たれた老人と心を痛めた少女。この出会いから二人は少しずつ心を融かしていく。

永瀬邸の書斎で亡き妻・初恵の遺品に触れながら、美緒は丈太郎の思いに触れていく。

やがて薫と永瀬の関係が明かされる。丈太郎と初恵の間には一人娘がいた。名を瑠璃という。薫は瑠璃と同じ幼稚園に通っていた。

長野という地で、永瀬家と薫に接点があった。そして後に、当時5歳の薫の目の前で瑠璃は誘拐されることになる。

丈太郎との出会いで少しずつ変化する美緒の心。薫と譲渡郎の過去が……。

長野の地で検事として働いていた永瀬丈太郎。妻の初恵、娘の瑠璃と幸せに暮らしていた。

ある汚職事件を担当する事を切欠に、丈太郎の人生は一変することになる。

愛娘・瑠璃の誘拐により丈太郎と初恵は徐々にすれ違っていく。心を殺して仕事に打ち込む丈太郎と娘の帰りをひたすら願う初恵。

思いは交錯したまま、瑠璃を残し東京へと生活を移す。

瑠璃を誘拐したのは誰か?その理由とは?

大人になった美緒は、永瀬の思いを果たそうとする。

瑠璃失踪の真実を追うため関係者への調査を行う。調べを進める中、意外な真実に直面する。

母・由佳里ともう一度向き合い、幼少期からの疑問をぶつける。父親との決別。

そして、次弟の死の真実とは?

幼少からの違和感の正体が明らかに!

ネタバレなしで本編を楽しむ

指を噛む癖。よく見掛ける光景です。

成長の過程で折り合いを付けないと大人になっても続ける人も少なくないとか。

本編の杉原美緒もその一人。

心を覆い尽くす得体の知れない靄は、幼い子供には恐ろし過ぎる。守ってくれる大人がいなければ指を噛んで耐えるしかない。

ただ美緒の幸運は丈太郎との出会い。

すり減って穴が開き、どんな感情も垂れ流していた美緒の心を丈太郎の思いが優しく塞いであげた。行方の分からない娘・瑠璃と重ね合わせていたのかもしれない。

時を越えて交錯する二人の思いに注目しながら読んで欲しい。

読者の感想

第一部から引き込まれてた。アル中の母親を持ち、幼い弟は赤ん坊の次男を死に関わっている。なんとも苦しい話。美緒と充がどうなるのか知りたくて読み進めるが 第二部では我が子が行方不明になった永瀬さんの話になってしまった。第三部では2つの話の謎解きとなるが、 私としては真実はあまり興味は無かった。美緒と充の事がずっとずっと気になって仕方なかった。

重く悲しい話だった。どうにもならない辛い現実を抱えながら生きていくってどんなものなのか想像もできない。赦しとは耐え難い悲しみの果てに辿り着くものなのかもしれないと思った。

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