道尾秀介 龍神の雨
作者紹介
道尾秀介
東京都生まれ
2004年「背の眼」で
ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞。
2009年「カラスの親指」で
日本推理作家協会賞を受賞。
その翌年、本作品「龍神の雨」で
大藪晴彦賞を受賞している。
その他作品
「ソロモンの犬」「ラットマン」
「向日葵の咲かない夏」
本編あらすじ
添木田蓮・楓の兄妹は
父母を失い継父と生活している。
と言っても継父は働かず
19歳の蓮の収入と
父母の残した僅かな貯えで
生活している。
15歳の楓と暴力を受ける
生活を続けてきた。
そんな継父に殺意を覚える。
連の働く酒屋では
生い立ちを知った上
店長・半沢の計らいで
融通を効かせた勤務が出来る。
そんな中その酒屋で
万引き事件が起こる。
中学生と小学生の
兄・辰也、弟・圭介
兄弟によるものだった。
彼らも父母を無くして
継母に育てられている。
万引きも継母に対する
当てつけだった。
この2組のきょうだいが
事件に巻き込まれていく。
楓が継父を殺害してしまうのだ。
それを隠そうとする添木田兄妹。
現場に遭遇する辰也と圭介。
更には近隣で少女の
行方不明事件が多発する。
それぞれの思惑が絡み合い
真実に辿り着こうとするが
それぞれの思い込みにより
彼らは決定的なミスを犯し
予想もしない事態に
巻き込まれていく。
本編見どころ
蓮と楓。辰也と圭介。
同級生である楓と辰也の
関係性により事態が混乱し
疑心暗鬼を生んでしまう。
楓を守ろうとする蓮。
辰也を疑いながらも助けたい圭介。
継母、店長・半沢を含め、
真実はどこにあるのか?
ここが焦点です。
作者特有の複雑な作品構成により
終盤まで真実は
分からないと思います。
ドキドキハラハラを
最後までお楽しみください!
読後感
道尾秀介お得意のどんでん返し。
まさかまさかの展開に
わくわくする事と思います。
「カラスの親指」が
その典型でしたが、
敢えてこの作品を選んだのは
結末のうすら寒さである。
恐怖というより
薄気味悪い、気持ち悪い
といった印象です。
「カラスの親指」が 陽なら
「龍神の雨」は 陰。
道尾秀介の真骨頂と
いったところでしょうか?
これ以降の作品は、
作風がすっかり
変わってしまうので
私個人は、
最後の傑作と思っています。
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