米澤穂信 儚い羊たちの祝宴
本編あらすじ
登場人物
村里夕日・・・丹山家使用人
丹山吹子・・・丹山家令嬢
内名あまり・・・六綱家使用人
六綱光次・・・六綱家当主
六綱早太郎・・・六綱家長男
屋島守子・・・辰野家飛鶏館管理人
越智靖巳・・・遭難者
歌川ゆき子・・・飛鶏館近隣別荘管理人の娘
小栗純香・・・小栗家令嬢
玉野五十鈴・・・純香の使用人
大寺鞠絵・・・大寺家令嬢
バベルの会・・・令嬢たちが集る読書会
村里夕日は丹山家
令嬢・吹子に使える使用人。
吹子を崇拝している。
毎日、吹子の世話をし
共に生活できることを
生きがいとしていた。
吹子は丹山家の後継者として
今後を期待されているが
実は問題児の兄がいた。
いわゆる放蕩息子で
どこにいるか分からない。
一族の悩みの種だが
ある日、丹山家に乗り込み
一族や使用人を次々と襲い始めた。
吹子が後継者に
選ばれた事に対する逆恨みだ。
そこで残念ながら叔母を失った。
しかし剣術の心得のある
吹子と夕日に退治されてしまう。
その際、
兄は右手首を切られ
そのまま逃走した。
やっと丹山家に
安息の日々が
訪れるかに思われたが、
第二の凶行が行われた。
二人目の叔母が殺された。
しかも右手首を切られて。
誰もが兄を疑った。
しかし使用人・村里夕日は
ある事を懸念していた。
自分が夢遊病ではないかと。
まさか知らぬ間に殺人を。
もし自分の凶行であれば
吹子様に被害が及んではいけない。
その夜、
夕日は自らの四肢を縛り就寝した。
だが、これらは
吹子がある目的のために
巧妙に仕組んだ罠であった。
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内名あまりは、六綱家へ向かった。
母が亡くなった。
今際の際に六綱家へ行けと。
あまりは、前当主と母の間の子。
いわゆる妾の子だ。
尋ねていけば
貰う権利のあるものが必ずある。
そう言われ
行く当てのない
あまりは向かっているのだ。
しかし前当主は病に伏せており
次男である光次が新しい
当主としてあまりを迎えた。
そしてこの金で
好きに暮らせと言った。
あまりは、何も要らないので
六綱家へ置いて欲しいと話す。
光次は構わないが条件がある、
「北の館」と呼ばれる別館で
先客の世話をして欲しい。
そしてなるべく
館から出ないで欲しい、
というものであった。
あまりは了承し
「北の館」に向かった。
「北の館」は別館。
本館との間は
鉄の扉で仕切られていた。
そこにいた先客は
六綱家の長男・早太郎であった。
なぜ長男である
早太郎がそこにいるのか?
あまりはなぜ
六綱家に留まったのか?
そこには
いくつもの企みが潜んでいた。
本編見どころ
あらすじ2話の他
もう2話あります。
山岳にある別荘で
管理人として働く屋島守子。
遭難者・越智靖巳を発見する。
瀕死ではあったが
懸命な看病で一命を取り留める。
その後、山岳隊が
遭難者を探してやって来る。
しかし何故か守子は
遭難者など見ていないと答える。
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小栗純香は小栗家後継者。
玉野五十鈴は
それに仕える使用人である。
二人は主従関係に
ありながら友人でもあった。
小栗家で絶対的に
君臨する祖母の眼を盗んで
楽しく学校生活を送る。
念願の屋敷を出ての生活も手に入れ
順風満帆に見えた生活も
叔父の逮捕によって
一気に暗転する。
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バベルの会。
大寺鞠絵の手記により
徐々に姿が明らかになる。
本を読み、様々な思いに耽り
現実との折り合いをつける。
そんな者たちの集い。
本編の主人公たちと
どのように関わってくるのか?
そこを焦点にお読みください。
読後感
私ミクタギが
文庫本レビューを始めて
最大の難関でした。
作者の意図を読み取りにくい。
難解な作品でした。
なので感覚で総評させて頂きます。
理想と現実。
誰もが葛藤する。
しかしその垣根を
安々と越えていくものがいる。
そのような者たちによって
葛藤している我々など
取るに足らないもの。
儚い羊たちに過ぎない。
垣根の向こう側には
容易には行けない。
だが垣根の向こう側からは
簡単に来ることが出来る。
羊たちはひと溜りもない。
作者紹介
米澤穂信
1978年 岐阜県生まれ
2001年「氷菓」で
角川学園小説大賞激励賞 受賞
「氷菓」を含む『古典部シリーズ』
「春期限定いちごタルト事件」
などを含む『小市民シリーズ』
などで人気を誇る。
代表作
「折れた竜骨」「インシテミル」
「ボトルネック」
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