五十嵐貴久 贖い ネタバレなし!真面目一筋だった男の突然の退職。その理由とは…。

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五十嵐貴久 贖い

本編あらすじ

登場人物

稲葉秋雄・・・59歳、一流商社勤務

鶴田里奈・・・警視庁捜査一課

星野警部・・・警視庁捜査一課

神崎俊郎・・・埼玉県警捜査一課

中江由紀・・・埼玉県警捜査一課

坪川直之・・・愛知県警

吉岡隆一・・・警視庁管轄で死亡(小6)

浅川順子・・・埼玉県警管轄で死亡(中2)

松永真人・・・愛知県警管轄で死亡(1歳)

警視庁管内の小学校で

子供の頭部が発見された。

吉岡家から長男・隆一の

捜索願が出された直後だった。

警視庁捜査一課の星野警部と

鶴田里奈は捜査にあたる。

捜査本部は拉致・誘拐の線を疑うが

星野は府に落ちない。

そんな中、

隆一君が行方不明になる前に

立ち寄っていた

コンビニエンスストアで

最後に会った幼児が

母親と共にやってきた。

どうしても気になることがある。

その幼児は隆一君が

“ おじいちゃんがいた ”と話した。

そう語った。

取り留めない幼児の証言。

しかし星野警部は

その話に何かを感じた。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

一方、埼玉県警管轄の山林で

少女の遺体が発見された。

胸を一突き、即死だった。

浅川家から長女・順子の

捜索願が出された直後だった。

埼玉県警捜査一課・神崎俊郎と

中江由紀が中心で捜査にあたる。

身辺調査やNシステムの解析などで

不信車両の発見や

性犯罪者リストから

事件の核心に迫っていく。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

愛知県警管内で

幼児の捜索願が出された。

母親が買い物中

車に子供を置いて

ちょっと目を離した隙に

いなくなったという。

松永家の長男・真人。

まだ1歳だ。

坪川直之は最初の対応者として

捜査に加わる。

松永家に事情聴取を行う中

母親が虐待を

行っていた事実が判明した。

本編見どころ

東京・埼玉・愛知で

同時期に発生した事件は

次第に同じ方向を向き始める。

警視庁捜査一課の星野警部は

鶴田里奈とのローラー捜査中

ある初老男性に巡り合う。

大手商社に勤め

定年を間近に控えた稲葉秋雄だ。

引っ越してきて間もないという。

ワンルームアパートに

老後ひとりで

しかも隆一君殺害現場のすぐ近く。

星野のアンテナが反応する。

何度も稲葉を訪れ

揺さ振りをかける。

しかし稲葉の周辺は

一切の隙を見せない。

会社の部下・同僚。

行きつけの飲食店。

スポーツクラブ。

どこで評判を聞いても

悪く言う人がいない。

いやむしろ

あの人だけはあり得ない。

異口同音に答える。

やがて捜査は被害者の父親・

吉岡氏のルーツに向けられる。

ここからが物語の焦点になる。

3つの事件と稲葉秋雄。

関係しているのか。

関係しているのならどのように。

無関係ならば真実はどこに。

本篇は上・下巻に分かれています。

読後感

子供が

亡くなる事件は後を絶たない。

その悲しみは親であれば

想像するのは難しくない。

もし貴方ならどうしますか?

考えたくもないですよね?

本編の被害者家族も同様。

まさに人ごとだった日常から

突然、当事者へと

引きずり出されたのです。

その心情は幾ばくか?

またそれ程の思いをさせる

加害者の心情。

これもどうしても知りたい。

被害者、加害者。

どの側面で見るかで立場は

変わるのではないか?

被害者だった自分が加害者に。

加害者だった自分が被害者に。

常に起こりうることではないか?

そう思うとうわべの事実など

取るに足らない。

誰の元にも訪れる日常。

決して他人事ではないと

本編を読み強く思った。

作者紹介

五十嵐貴久

東京都出身

2001年「リカ」で

第2回ホラーサスペンス大賞を

受賞しデビュー。

「リカ」はシリーズ化し

代表作となる。

本作品「リメンバー」は、

シリーズ 第5作となる。

他、「交渉人」、「パパと娘の7日間」

「誘拐」

読者の感想

東京、埼玉、愛知で子供が殺される事件が発生するが、関連性もなく誰も事件の全貌が掴めない。真相に辿り着くまでかなり焦らされ、読んでいて登場人物たちにヒントを教えたくなった。それくらい引き込まれていきました。ボリュームのあるページ数からは考えられないくらいスラスラ読めました。五十嵐さんの刑事物はやっぱり面白いな。

3つの殺人事件、それらが一つに繋がるとき、皆さんも感想で述べてる通り、犯人はこの人だなと最初の段階ですぐわかるのですが、その犯人に警察が近づいてくる様子がドキドキ。それぞれの捜査をする警察の人間模様も丁寧に描かれていて、多少混乱もありましたが。それはそれでおもしろかったしストーリーに厚みがあったと思います。犯人の動機も想像通りとはいえ、何年も復讐のために費やす執念は同じ子を持つ親としてはそこまでやれるだろうか、いや、わからん。もしかしたらなんて。

長い長い話だった。殺害の動機が想像さえつかなく、父親の復讐への執念と自殺した息子への贖罪の深さが切実に描かれている。いじめに気が付いてやれなかった息子への思いから自らをストイックなまでに追い込み、周りからは勤勉実直な人間として慕われるまで20年も演じ続け復讐の機会を待ち犯行に及んだ父親の心情を考えると苦しくなる。また、事件に関わる独特な雰囲気を醸し出す刑事も魅力的で、見事なまでに練り上げられた大作だった。

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『贖い』|感想・レビュー - 読書メーター
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