ドライブインまほろば ネタバレなし(遠田潤子)義父を殺し逃げる小学生。追い掛けるのは義父の双子の兄。

スポンサーリンク
スポンサーリンク




スポンサーリンク
スポンサーリンク




ドライブインまほろば ネタバレなし(遠田潤子)

序盤抑えるべきポイント

小学生6年生が義父を殺して逃走。

発見したのは小学生の母と義父の双子の兄だった。

自分の息子が再婚相手を殺害し狼狽える女。

双子の弟を殺され怒りに震える男。

目の前には、まだ弟の死体が横たわっている。

しかし警察や救急車を呼ぶ事は出来ない。

何故なら彼ら兄弟は公には出来ないビジネスをしている。

調べられると彼らの背後にいる組織にも手入れが入る。

不本意だが死体は闇から闇へ葬るしかない。

それともう一つ問題が……。

逃げた小学生はパソコンを持ち出した。

その中には非合法ビジネスの証拠が詰まっている。

身の安全の為にも、そして弟の仇を討つ為にも探し出さねばならない。

逃げたガキは必ず探し出す!

小学生が義父を殺害する。

余程の理由があるのだろう。

しかし彼はその理由を決して言わない。

母とその再婚相手との間に出来た血の繋がらない妹と共に、とにかく逃げる事を選んだ。

逃げてどうなるかも分からない。

もし生まれ変われるなら……。

ある場所を目指す兄妹は空腹の為、山の中のドライブインに忍び込む。

そこで巡り合ったのが幼い娘を失った経験を持つ比奈子。

彼らは互いに心に傷を持ちながらその優しさに少しずつ心を開いていく。

そして比奈子と兄妹との奇妙な共同生活が始まった。

この子達を守ってあげないと……。

相関図

本編あらすじ

坂下憂が義父・流星を殺害した所から物語は始まる。

憂の実母であり流星の妻・芽衣、そして流星の双子の兄・銀河がその死体を発見する。

芽衣は連れ子の憂や流星との間に生まれた来海には全く興味がなく、流星だけが生き甲斐だった。

その流星を奪われ絶望し切っている。

一方、銀河は両親に恵まれない人生を流星と共に生きてきた。

喜びも悲しみも共有してきた筈の弟が殺された悲しみは大きい。

しかしその死を悼む事よりも隠ぺいする事を余儀なくされる理由がある。

二人は非合法な仕事に手を染めていた。

その死は闇から闇へ葬らざるを得ない。

そしてもう一つ問題が……。

流星を殺害した憂は、その非合法な仕事の証拠を収めたパソコンを持って逃走した。

何としても捕まえねばならない。

流星たちが行っていた非合法な仕事とは?

憂は流星を殺害した後、妹の来海を伴って逃走する。

日頃から子育ては勿論、家事の一切を憂にやらせてきた芽衣に来海を任せる訳にはいかない。

その思いで来海を同行させた。

彼は何故流星を殺したのか?

その思いは決して語る事は出来ない。

ただ以前、芽衣の父親である祖父が教えてくれた “十年池” 

そこに行けば人生をやり直せるかもしれない。

憂は兎に角そこを目指した。

僅かな希望と共に……。

憂は何故、流星を殺したのか?

憂と来海の逃走中に空腹を満たすため山中のドライブインに忍び込む。

そこで店主の比奈子に出会う。

比奈子はこの幼い二人を放っておく事が出来なかった。

何か深い訳があるに違いない。

それは嘗て失った娘・里桜の姿に二人を重ね合わせたのかもしれない。

三人の奇妙な共同生活が始まった。

比奈子が抱える心の傷とは?

銀河は死に物狂いで二人を探す。

そして漸く見付けた手掛かりは憂が希望を抱く “十年池” が手掛かりとなった。

それぞれが抱える心の傷は、“十年池” に引き寄せられる事で昇華されるのだろうか?

物語の終着点は “十年池” なのだろうか?

ネタバレなしで本編を楽しむ

この物語は三人の視点から書かれている。

それらが引き寄せられ、“十年池” というキーワードで繋がっていく。

坂下憂・比奈子・坂下銀河。

それぞれに心の傷を抱え、それに蓋をする様に生きてきた。

そしてそれぞれが出会う事により、絶望していた筈の心が少しずつ溶けていく。

壮絶な人生を歩んできた三人。

それぞれが最後に辿り着いたのは楽園であって欲しい。

読者の感想

終始、ページをめくる手が止まらず一気読みだった。皆、過去に傷を抱えながらも大切に想う誰かのために必死で足掻き苦しむ姿に心打たれた。三人のように絶望しきっていたとしても、前に進んでいけば表紙のようにちゃんと光はあるのかもしれない。緊迫した場面でも言うのだから少々間が抜けていたけれど、どんなに道を踏み外して下衆な弟だろうが自分のせいで野球を諦めさせたと常に悔いている銀河が印象的。自業自得以外の何者でもないけど、そんな一言では斬り捨ててしまえないものがそれぞれにあるから比奈子も憂も銀河もきっとつらいのよな。

虐待のオンパレードという重い内容の作品だった。確かに、いろいろな親がいて、いろいろな子供がいる。ただ、逃げられる場所が必要。それは子供だけでなく大人にも。女性店主の母も辛い。周りの反応や態度も分からなくはないが、もう少し早くに第三者の手が差し伸べられていたら。◎本当にしんどい内容だった。

「関連記事」

殺人鬼と言われた女の真実とは……。

      ↓

早見和真 イノセントデイズ ネタバレなし!残虐な殺人鬼と言われた女の真の姿とは…。
早見和真 イノセントデイズ ミクタギです。 本日も少し前の作品です。 今の時代、世間一般の意見 更にはマスコミに扇動された物語は 1人の人間のすべてを 作り上げてしまう。 しかしそれが全くの虚構だとしても その人間に為すすべはない。 それが...

赤ん坊を奪って逃走。その訳とは……。

      ↓

角田光代 八日目の蝉 ネタバレなし!映画にもなった話題作。地上で1週間しか生きられない蝉の八日目とは…?
角田光代 八日目の蝉 ミクタギです! 人と人との繋がりとは 一体何なのでしょう? 血は水よりも濃い とよく聞きます。 しかし本当にそうでしょうか? 共に過ごした月日。 分かち合った感情。 これらが何ものにも 代えがたいことを 私たちは知って...

コメント

タイトルとURLをコピーしました