桜木紫乃 蛇行する月 ネタバレなし!高校時代の同級生である5人。その後の彼女達の人生は…。

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桜木紫乃 蛇行する月

本編あらすじ

登場人物

須賀順子・・・妻子ある男と駆け落ち

戸田清美・・・ホテル務めで行き詰まり

藤原桃子・・・フェリー務めで不倫中

小沢美菜恵・・・高校教師、恩師と婚前

角田直子・・・主任看護師

※ この5人は湿原高校時代の同級生

福吉弥生・・・老舗菓子処おかみ

福吉恭一郎・・・弥生の夫

谷川・・・5人の高校時代恩師

須賀静江・・・順子の母

湿原高校時代の同級生5人。

須賀順子を軸に物語は進みます。

高校を卒業しそれぞれに

悶々とした日々を過ごす。

そんな中、彼女たちが

ふと思い出すのは

高校時代の須賀順子に

纏わる出来事である。

当時の担任であった

谷川に好意をもった彼女は

一途に彼を思い続ける。

彼の担当教科だけは

いつも満点という徹底ぶり。

終には、

卒業目前で告白をしてしまう。

しかし谷川には拒絶される。

失意のまま高校を卒業した順子は

札幌の老舗菓子店に就職する。

そこで何と彼女は店主の

恭一郎と駆け落ちしてしまう。

お腹には赤ん坊もいたようだ。

その後、行方不明になった彼女を

心の中で思い続ける4人。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

ホテルに勤めながら

理不尽な

仕事に辟易する日々の清美。

好きでもない男との

遠距離恋愛にも虚しさを覚える。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

フェリー会社で

乗務員として働く桃子。

妻子ある男との

関係は割り切っている。

そう思ってはいても

どこか府に

落ちていない自分がいる。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

高校時代、実は

自分も谷川を好きであった美菜恵。

順子の行動に気おされて

告白できなかった彼女は

彼の後を追い教師になった。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

当時からいつも冷静だった直子。

そんな彼女も両親の不慮の事故に

心を痛めて過ごしてきた。

順子の心の支え

としても存在してきたが

何もできない自分に葛藤する。

ーーーーーーーーーーーーーーーー

高校時代から中年期に

至るまでの彼女たちの変遷。

弥生、静江の胸の内と共に

それぞれの女性たちの心の機微が

私たちの心にも染みてきます。

本編見どころ

駆け落ちした順子は

その後どうなっていくのか?

ここが焦点である。

清美、桃子、美菜恵、直子。

そして、弥生と静江。

順子を中心に

彼女たちの思いは交差していく。

そして順子に

関わった男たちの思いも。

それぞれの日々を過ごし

日常に押し流され

少しずつ順子を忘れ

ふと立ち止まると思い出す。

寄せては返す波のように

現れては消える順子は

彼女たちに

とってどんな存在なのか?

そんなことを思いながら

ゆっくりご覧ください。

読後感

順子のひたむきさ。

真っすぐさで彼女たちは

バランスを

とっていたのではないか?

慌ただしく過ぎていく日常。

その中で

どんどん変わっていく自分。

そんな葛藤を感じた時

順子を思いだす事で

自分に折り合いを

つけていたように思える。

自分には

あのような生き方は出来ない。

高校時代の

真っすぐな順子を思い

理想と現実に言い訳をする。

そんな言わば

ガス抜きのような

存在だったのだろう。

みんなそうやって

折り合いをつけて生きている。

正しいとか

間違っているとかではなく

そうやって生きている。

順子はそういう意味では

対極にいる存在なのだろう。

私はいつも思う。

真っすぐな事は罪なのか?

それ自体に何の罪もない。

しかしその事が

誰かを追い詰める

ことは多々あることだ。

大変皮肉なことだと思う。

間違ってはいないのに

マイノリティーに

なってしまう世の中は

まさに皮肉としか言いようがない。

作者紹介

桜木紫乃

北海道釧路市出身

2002年「雪虫」で

第82回オール読物新人賞受賞

2013年「ラブレス」で

第19回島清恋愛文学賞受賞

同年、「ホテルローヤル」で

第149回直木賞受賞

代表作

「起終点駅(ターミナル)」

「星々たち」「ブルース」

読者の感想

北海道で同じ高校に通い図書部員として過ごした女の子たちの大人になってからの疲れて生活たちを描いた物語です。 儘ならないね、大人って。苦いもんですね人生って。 もう少し、幸せな人達が出てきても良いような気もするけれど、それじゃあ小説にならないしなあ。 普通に働いて結婚して子供がいてそんな生活が当たり前ではないことを再認識できる内容でした。

湿原が見える高校の同じ趣味からなるサークル仲間の少女たちが大人になり、まったく違う幸せを得ていく。 だれが良いかじゃなくて、みんなそれぞれの幸せがあって良かったと思えた。終わりよければすべてよしって、こういう事か。

女たちの寂しさと満たされなさ、細やかな自己肯定と静かな思いやりに痺れた。どの女も愛しい。ポケットの穴を繕うことより穴より小さなものをポケットに入れないのが自分という女なんて寂しくて強いんだろう。静江と順子それぞれのつつましい生活と、決して自己否定しない生き方に胸を打たれた。身なりにも構わず、傍目からは幸せそうに見えない順子の芯の強さに圧倒された。最後の章で直子が順子を労わってくれ、先行きは悲しいけれども希望を示して読者を救済してくれたのが嬉しかった。

女友達、母娘、比べることで浮き彫りになる人生。それぞれの幸せの形。6人の女性を書く連作短編。北国、官能の要素が薄いので初読でも読みやすいと思います。夫に蒸発された和菓子屋の女将が主人公の「弥生」が印象的。1人で静かな覚悟と決意をする姿が紫乃さんの書く女性らしいです。東京の娘に会い北国にいる自分の生活を受け止める「静江」のラストも好きです。沖縄のダイビングの場面から始まるのが新鮮な「直子」に、この短編集の結末を見ることができ良かったです。

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