辻村深月 朝が来る ネタバレなし!不妊治療の果て、夫婦が選んだ方法は……。

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辻村深月 朝が来る ここがポイント!

序盤 抑えるべきポイント 

ある不妊に悩む夫婦が、治療の果てに諦めかけた子供を養子縁組によりその手にする。その子供は、様々な事情により我が子を育てることが出来ない親達が、駆け込み寺のように使うNPO団体から譲り受けた。

不妊治療でも駄目だった……。養子縁組はどうだろう?

事情があり、育てられない親御さんから、お預かりしているお子さんがおります。

その子は、すくすくと育ち6歳になった。血の繋がりはないが、とても可愛く夫婦は幸せの絶頂にいた。一つ、気掛かりなのは最近続く無言電話。心当たりがないだけに不安を覚えるが日々の生活の中で忘れ欠けていた。ある日、久々に電話が鳴る。やはり何も言わない。今日こそは、何か言ってやる。そう思い、語り掛けようとしたその時、「子供を返してください。」そこから幸せだった家族に、6年前の選択がもたらす悲しい事実が徐々に明かされていく。

貴女は一体誰?

子供を返してください!

相関図

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本編あらすじ

栗原佐都子は、夫・清和、息子・朝斗との生活に幸せを噛み締めていた。タワーマンションの上層階に住み、高収入の夫を持ち、息子の朝斗は幼稚園に通う可愛い盛り。何不自由ない生活に恐ろしささえ感じていた。

こんなに幸せで良いのだろうか?

一つだけ気掛かりなことは、時折掛かって来る無言電話。何も言わず、向こうから切ってしまう。しかし今の幸せに比べると、取るに足らない事。いつの間にか忘れていった。

ある日、幼稚園から電話がある。朝斗がトラブルにあったという。慌てて幼稚園に向かった。

園長と担任の先生によると、タワーマンションでも一緒の仲の良い友達が、滑り台から落ちて足を捻挫してしまった。その子の話では、朝斗に押されたと言う。園側で確認したがはっきりした証拠はない。何となく朝斗の仕業のような空気になっていた。

朝斗はそんな事をする子供ではない!

しかし佐都子には、どうしても朝斗がやったとは思えない。本人に確認すると、絶対にやっていないと言った。最後まで我が子を信じることに決めた。

怪我をした子供の母親とは日頃から仲が良いが、佐都子が非を認めないので険悪になってしまう。もやもやした状態が続いたが、最終的に相手の子供が嘘を言っていた事を認め、事態は収拾した。

あの子を信じて良かった……。

息子を信じて良かった。朝斗がやはり思った通りの子供で佐都子は嬉しかった。これで何の心配もいらない。そう思った時、また、あの無言電話が掛かって来たのだ。

今日という今日は、何か言ってやる。覚悟を決めて電話を取ると、「息子を、返してください。」初めて相手が話した。しかしその内容は、佐都子を過去へと誘う悪魔の言葉だった。

まさかあの人が……、いやそんな筈は無い。

ネタバレなしで本編を楽しむ

ここから先が物語の中心となり、全ての謎はこの後を読まないと全く分かりません。冒頭の抑えるべきポイントで紹介した養子縁組の件が、最後までこの物語を支配します。その上で、本編の楽しむポイントは、

栗原夫妻が養子縁組に辿り着くまでの過程

無言電話の正体は一体誰なのか?

片倉ひかりが朝斗を手放す事になった理由

ベビーバトンの役割と現在

この辺りでしょうか?

流れとしては、養子縁組までの夫婦の葛藤がこの後、描かれていきます。そして養子縁組の経緯、その後、片倉ひかりについて、かなり長く描写されています。

読後感

ラストの20ページに全てが集約されていた。そんな印象を覚えました。

冒頭の幼稚園での出来事が親子の絆をより引き立たせ、その後の展開に重みを加えました。読み進める内に、何故?何故?が続き、一つ一つの疑問はある程度予測が付くが、点と点が繋がって行かない。スッキリしない状態でのラスト20ページは、ホッとさせるものがありました。

その上で、もうひとつ山が欲しかった。切々と語り続けた片倉ひかりを、昇華させるまでは行かなかったのが、個人的には残念でした。ただ全体を通して読み易かった。読ませる技術は流石です。

展開としては在り来たりですが、作者の優しさが垣間見える。最後に安心させてくれる所は、多くの人々の勇気に繋がるでしょう。

読者の感想

ごく普通の家庭にいても、ほんの少しのきっかけで転落していく。一旦転落のレールに乗ってしまうと、そこから逃れるのは難しいのだろうか。怖い。特別養子縁組で救われる命、救われる心がある。幸多かれと願う。

養子縁組がテーマ。迎える側と託す側、それぞれに背景や事情がある。章立てで分けられた二人の母の人生を、辻村深月の筆は、寄り添うように、なぞるように描いていく。「お姫様と王子様は幸せに暮しました」なんておとぎ話と違って、現実の人生は、方々に陥穽が待っているし、不可逆的なことがばかり。そんな境遇にあったふたりの母にも「朝が来る」。そして、それを象徴する小さな存在が二人に生きていく力、 前に進む勇気を与えてくれる。そして読者は、自分自身もそっと背中を押してくれるようなメッセージを受けるだろう。

いやー、一気に読んでしまった。親になったことがないから分からないけど、子への愛情ってすごいなぁ。1つの物語だけど、2冊読んだ気分。2人の母、それぞれの人生。それぞれ凄まじい。けど、やっぱりひかりちゃんが切なすぎる。彼女の親がもっと彼女を想ってあげられればよかったのに。もんもんもん。

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